『トラウマ』とは、日本語にすると「心的外傷」。つまり、心の傷のことです。
死んでしまうぐらいの身の危険を感じたり、突然の強いショックを経験したり(一回~数回)目撃したときに起こると言われています。例えば、大きい事故・怪我・虐待・いじめ・手術・自然災害・大切な人との死別などです。
アメリカで作られた、国際基準と言われている心の病気にかかわる診断基準『DSM-Ⅳ-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル』(米国精神医学会)の定義を一部抜粋すると
その人は、以下の2つがともに認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある。
(1) 実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、あるいは自分または他人の身体の保全に迫る危険を、その人が体験し、目撃し、または直面した。
(2) その人の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。
とあります。
一般的に言われるトラウマはこのようなものですが、「死」を感じるぐらいの危険や恐怖、というのは実は今挙げたものだけではありません。
特に小さな子どもにとって世界そのものである、親から言われたことやされたことが、どれぐらいの衝撃になるか。また、そのとき過ごしていた環境はどのようなものであったか。
一度の衝撃ではなく、長期に渡り、うっすらと怒りや悲しみを感じていたとしたら。そこでできる心の傷は、一度の大きな傷と比較したら…など、比べることができるでしょうか。
以前にも書きましたが、一度グーでゴツン!と強く殴られるのと、何年も毎日小突かれ続けるのと、その苦しみ、痛みはどのようなものでしょうか。ということです。どちらも、それぞれのつらさがあるはずです。比べようもありません。
けれど、ダメージの大きさ、回復の点からみたとき。より深く長く影響をしてくるのはどちらのほうでしょう。
後者のように、長期間に渡り繰り返されてできた心の傷を複雑性トラウマ(CPTSD)と言います。
ここでは簡単にトラウマと複雑性トラウマ、という二種類のトラウマについて書きました。トラウマやその影響についてはまた少しづつ書いていきたいと思います。